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伊右衛門とマーケティングと歯科

今日はお茶祭関連のCAP会の後、二日連続でアカデミーヒルズへ。

演目は「成熟市場を切り開くマーケティング&ブランド戦略~「伊右衛門」開発ストーリーに学ぶ」で講師は沖中 直人ってサントリーのやり手っぽい人。今気付いたけど直人やん!
その後どっかの教授とどっかの教授が加わって鼎談してたけど、それはあんまピンとこなかった。
なんで行こうと思ったかといえば、成熟市場って言葉。歯科にそのまま結びつきそうやん。


講演の内容はほぼ伊右衛門のマーケティング戦略と製品開発に関するもの。

まず根本にあるのはサントリーの品質からくる自信。
ウイスキーでもお茶でも、それを通して文化を提案するということ。
そして従来の平面的製品ポジショニングマップへの疑問から、「おいしそうに見えて、おいしいこと」を目指してバリューアップの視点からの製品開発を目指したそうだ。
例えば企業側としてはコスト感などから「○○が従来の2倍!」なんていう製品スペックの押し売りをするが、消費者から見れば会社の都合なんて関係なく商品を選ぶ。

ペットボトルのお茶の市場では男性の消費の方が大きいそうだ。それは水分を失いがちであることや、男女雇用機会均等法により会社からお茶汲みがいなくなって自分で買うようになったこと、などがあるのではないか、と考えたそうだ。
ただ男性は女性に比べ、お茶を選ばない。
パッケージには大した関心を見せず「おーいお茶」を買ってしまう。いわばコモディティ市場。
そこに食い込むには従来の枠を変えただけの製品ではだめ。

お茶というものを見直してみると、日本の文化とは切っても切れない関係にある。単なるコンビ二おにぎりと、竹笹につつまれたおにぎりだと多くの人は竹笹につつまれている方を選ぶだろう。多くの人は別に幼い頃に竹笹につつまれたおにぎりを食べた経験などない人ばかりなのになぜおいしそうに見えてしまうか、といえば、それが日本文化としての姿であり、スローフードスローライフの典型的な姿であるからではないか。

そのお茶は現在どのように売られているかというと、缶飲料からペットボトルに容器が変遷した結果、消毒温度が下がった。
その結果おきる殺菌力の低下を茶葉を変えることによってカバーした。つまり抗菌力の強いカテキンを多く含むお茶、つまり苦味の強いお茶となる。それはお茶のうまみを犠牲することと同意である。「生茶」は香料を加えることによってうまみを出し成果を得たが、それは所詮偽の味ではないか。
そしてペットボトル内の微生物をそこに入れたお茶によって殺菌する従来のやり方は、消費者の目から見るとやはりおかしいものではないか。

そこで何をしたかというと、無菌室をつくり、そこでお茶をつめた。これにより殺菌力の低下をカバーすることができた。もちろん設備投資は巨額ではあった。

そして福寿園。
これは案外簡単で、200年お茶を作り続けてのブランドというのはやはりすごいことだ。そして大量の茶葉を買いそれをすべて自社で製品化できるのは福寿園だけだったそうだ。

そしてCM。
モックンと宮沢りえの現実にはありえないような夫婦像。そして久石譲の音楽と上田義彦の撮影。イメージには暖簾を使い、ペットボトルは竹筒をモチーフにした。


誰も予想してなかった大ヒットってわけ。
俺も大ヒットになったのを何かで知った時、CMのイメージがあったからただそれが良かったんだと思ってたけど、やっぱり単純にそれだけじゃそこまで売れないよな。
なんでも京都の本物のお茶フリーク(?)からも「おいしかった」と言われたそうだ。


ここでやっぱり得たのはバリューアップであり、付加価値をつけること。そしてマーケティングの考え方。

ミシュランは車を使ってもらうためにレストランガイドを作った。ミキハウスは子供服を買ってもらうために団塊世代対象の会員制サービスを始めた。
歯科の需要は何も「患者」だけではない。ヘルスケアとして考えれば予防や美容はもちろんだが、例えば口臭や味覚に関するものに対しても顧客層はあろうかと思う。歯科なら食生活が豊かになれば関心が高まるんじゃないか。他にもいろいろあると思う。

あと付加価値を生むこと。
歯科の市場は公的な介入の寄与が大きいだろうが非常に低く抑えられている。しかし、欧米の患者は歯科治療に日本の診療報酬の何倍も払う。
国民一人当たりのGDPでいえば日本はアメリカについて世界二位であるのに、生活の基本ニーズであるはずの歯科においてなぜこれほどまでに支出が抑えられているのか。

それは単純に欧米の歯科治療の方が診療所が広くレベルの高い治療をしているということや、一般市民の歯科に対する価値観の違いというものがあるんだろう。他にもあるかもしれない。

治療レベルと診療所の広さを差として見るのであれば、それは付加価値の違いだ。日本の歯科医療は安いが診療時間が短く、不十分な治療が多い。はたして日本人はそれで満足しているのか、もしくはそれ以上を求めることがないのか。

俺の考えでいうと付加価値というのは大きくあがる余地があると思う。かつてただと同義であった水は産地を選びパッキングすることによって市場で取引されうる価値を得た。日本の歯科業界でも同じことが可能だと思う。

歯科では身近なところにわかりやすいブランドがない。
だからこそ、ただでさえ街中に歯科医院があふれかえってるのに医科歯科の付属病院の患者数は増え続けているんだと思う。

経営的に成功した歯科医院も医院を大きくするのではなく、分院を作ろうとする。分院長をやとって経営は任せて暖簾代をもらおうとする。
自由診療をする医院も個人で稼ぐこと精一杯で、それ以上のことを考えようとはしない。


本を読んだり、人に聞かれた経験から「良い歯科診療」への需要は案外高いのではないだろうか、と思う。良い診療のわかりやすいブランドがない。ネットでは歯科医院の人気投票みたいなものはあるが、世間の認識とは大きな隔たりがあるだろう。
もっともその「良い歯科診療」というのがわかりにくい。
それを補完するのは今は学歴にほぼ独占されている「ブランド」だろう。

安心感のあるブランドは必要だと思う。
一定以上の治療を継続して提供すれば過剰である地域であればあるほどそのニーズは高いと思う。



歯科のマーケティングは他にもいろいろ考えることはあるけど、また長くなったので別の機会に。

アメリカではNFLが開幕したようです。
明日こそ秋晴れになってほしいなぁ。
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プロフィール

udnkui

Author:udnkui
香川県出身。
京大大学院の博士院生。医科歯科卒。jazz好き。神社巡り好き。独学での法律、政治、経済、経営等社会科学の基礎知識と国会議員、外資投資銀行(米・英・欧)、学際系研究室などでのインターン経験があります。
興味事項:社会、科学、自然、芸術
日々精進してます。

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