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医療費の高騰の論点

昼起床後。逆に(?)規則正しくていいね。
その後今週末の合宿の打ち合わせに部室に行き、神田神保町のうどん屋へ。
あいかわらずコシがない。ネットではやたら人気だけど、なぜなのかさっぱりわからない。

その後スタバへ。
今日は5章「再分配政策としての医療政策-医療費と所得、そして高齢化」。
国の医療費はどのような要因で決まるのか、という内容。
まず医療費自体の構成について。医療費というのはその制度的枠組みで見たとき、所得弾力性は1を超えている(所得が1%伸びれば医療費はそれ以上に伸びる)。しかし、先進国での医療費は健康粗指標(乳幼児死亡率、周産期死亡率、妊産婦死亡率、低体重児出生率に、男・女平均寿命)への強い相関は認められない。これから、豊かな国ではキュア(主に命に関わる治療。急性的)よりもケア(主観的健康の改善。慢性的)の分野に関して消費がなされている、という推論を得る。この医療の質部分の変化は、先進諸国の医療費GDP比率が高まるのが医療費のインフレではなく、医療に対する資源が増加していることを示唆している。

で、ここからが本題。
結論からいうと、医療費の増加と高齢化の間に相関関係はない。実際のデータから医療費と高齢化を直接グラフにすると相関があるように見えるが、一人当たりの所得の増加をコントロールすると相関が認められなくなってしまう。もちろん高齢者は非高齢者の4倍~6倍の医療がかかってはいるが、それは日本を例にすると、過去医療費増加の5%程度しか説明できない。

結局、一国の医療費水準を決めるのは所得である。
医療費は制度として提供されると同時に、社会全体でプールされた売買であり、医療消費は必要によってなされるのではない。
個人で見れば医療は必要によってなされているように見えても、それはあくまでプールされた財の分配の問題であって、医療費はその国の所得によってなされる。
これは貧しい国で粗健康指標が改善されず、豊かな国で粗健康指標とは関係なくとも医療費が増すことからも示唆されている。

この当たりを読み取った時はかなり衝撃をうけた。
まさに次年度の総医療費を閣議決定する日本のまんまじゃないか。


で、現在の日本の医療費は高いのか。
OECD加盟諸国の医療費から得た国際標準と比べると日本の医療費はほぼ一貫して10%程度低い。それとは対称的に人口千人当たりの病床数で、先進諸国は害して概して低下傾向にあるが、日本では1960年~1998年にかけて2倍弱までに数を増やし、数の面で他の諸国を圧倒している。病床数の増加は医療費の増加を招く、がそれでも医療費は低く抑えられ続けてきた。
このアンバランスな政策が病院の入院生活を家庭での住環境と比べて貧弱なものにし、患者と病人をかかえる家計を圧迫しているのではないか、と筆者は述べている。


医療費を抑制するしくみについては、また一つ日記が書けるくらいろんなものがあるけど、この本で書かれていることで言うなら、医療の公費提供割合が高まれば、公共部門に政治的ポジションを与えることになり、医療費は低く抑えられるというもの。さらに不況やデフレがおこっても保険料率の変更を行わなかった結果、健康保険組合の収支が悪化し、その政治圧力が増したというもの。この政治圧力に対しては、保険料率引き上げという負担の明確な方向には働かず、専門性と複雑さに覆われた医療費の引き下げという方向に作用する。


結局、医療費は必要によって消費されるのではなく、所得によって作用される部分が大きい。その水準も、医療がプールされて消費される性質をもつことから、極めて行政的・政治的に決められ、日本では低い水準にあるにも関わらず「適正化」と称してさらに低くなるように調節されている。この過程には財政的な制約の部分で政治が介入するから、日本の医療部門の政治力というのは大きく力を発揮していなかったことになる。
日本医師会というのは利益団体のドンみたいな印象をもってたけど、低い医療費の代わりに公共事業費はOECD諸国の何倍も使ってるから土建屋の方が政治力が強かったってこった。


とにかく、今の政策の動きは間違っていると前々から思っていたけど、本当に大きな方向として間違った方向に進んでるんじゃないかという気が増してきた。本当に警鐘を鳴らしたい。




最近、楽しくて仕方が無い。
自分だけではとても気付けないことを一連の論文は教えてくれる。もちろんこの前に多くの研究者による研究があったわけだけど。
これまで知らなかった事実や、思いもよらなかった視点を気付かされた時、頭ん中に快感を感じる。

日本は世界一のスピードで社会構造が変化している国で、今80歳の人と10歳の人では考え方も行動も違うだろう。社会の変化が激しい分、考え方の世代変化も多様なものになっているだろう。最近でいえばおそらく靖国問題でも同じだと思う。
豊かになるにつれ、政治への影響も複雑になり、元々医療自体もつ特殊性と日本という特殊性をもつ医療社会はさらに複雑になるだろう。
医療はそれ自体が持つ問題に、財政的な問題が加わり、政治的な問題が加わり、経済的な問題までもが加わることがわかった。
勉強しても勉強してもまだ膨大な量の知識と思考が必要だ。
なんともやりがいのある分野やないの。
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プロフィール

udnkui

Author:udnkui
香川県出身。
京大大学院の博士院生。医科歯科卒。jazz好き。神社巡り好き。独学での法律、政治、経済、経営等社会科学の基礎知識と国会議員、外資投資銀行(米・英・欧)、学際系研究室などでのインターン経験があります。
興味事項:社会、科学、自然、芸術
日々精進してます。

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