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社会と歯科 (研究体験実習に対する個人的考察)

随分遅くなってしもた。
何しろ先週のお茶祭前一週間は毎日授業とjazz研だけで1日が終わって全く余裕がなかった。10バンド中7バンドに出てた。無茶やろ・・・。

まぁお茶祭も2日でお客さん200人ほど入り、次の日にあったテストも徹夜を覚悟したわりに内容が薄く無事終わり、この一週間はのんびりすごしました。

とりあえず、前の日記についてたコメントに対しては考察も含めたレスをしといたので、興味ある人は見てみてください。


さて、考察をば。(注:超長い)

まず、前にも書いたけど今回の研究は限られた時間と資源の中で答えを出すという、どちらかというと学問的というよりは経営的な研究だった。仮説をかなりの確度で検証しようとすると時間がいくらあっても足りないし、現時点でのoutputができない。足りない部分は後で追加的にリサーチして、その結果が当初の予想と反すればその都度結論を修正していけば良い。
以前は必ずしも確実に言えないことを言えるとすることに抵抗があったけど、そもそも、常に変化し、本当の姿を把握することなどほぼ不可能な社会を対象にする時にはこの考え方が必要なことに気付いた。学問と違って間違っても良いというのも大きな違いだと思う。
また、こうして全体を俯瞰することによって、今後どのようなリサーチが必要かということもある程度把握することができた。


最終的な提案について。

挙げたのは次の3つ。
・歯科医療評価系の強化
・中規模歯科診療所
・歯科教育の社会化

この3つはアドバイザーの先生とのディスカッションやインタビュー調査などの結果生まれたものだから、本当に偶然なんだけど一つ目と三つ目は既に取り組んだことがある。


○ まず一つ目。

2年前の話だけど、歯科医療機関の評価系を構築することを目的として、歯科医療機関の情報公開を行うNPO法人の設立を本気で考えたことがある。(東京麺通団のバイトをやめたのはこの計画をすすめるため)
結局、お金もないし人も集まらなかったから頓挫しちゃったんだけど。

ちょっと話変わるけど、当時俺が考えてたことと同じようなことをしてる組織で目立つのにNPO法人の「歯科医療情報推進機構」というのがある。これは歯科医療機関が受審を申請し、この団体の基準をクリアすればこの団体の認定をもらえるというもの。
2年前に実際に事務所を訪問したりして調べたことがあるけど、とりあえず組織と理念は立派に作ったなという印象。政治家や元官僚に加え、医科歯科の先生も何人か関わっているらしい。

はっきり言うと批判的立場です。
現実的にこれが広まるとは思えないし、広めようと思ってるとも思えない。
審査をうける診療所は規模に応じて約50万~200万の審査料を払わなければいけないのに加え、この団体が主催する学会に入らなければならないのでその会費費用6万が発生する。ちなみに認定の有効期間は5年間。
小規模歯科診療所が多い中、いったいどれだけの歯科医院がこんな私的組織の認定を受けるというのだろうか。もっとも現実にまったく広まってないんだけど。
多少は立派な目的もあるんだろうが、同時に金目的な匂いがぷんぷんする。
某教授が「歯科業界は何でも(学会でさえ)金にして考える」といってたのを思い出す。


話がそれました。
評価系を形作る目的は、歯科医療行為について少なくとも良心的な歯科医が妥当と思えるような単価設定を行うことを可能にするというのが一点。もう一点は提供されている歯科医療の質を担保するため。

医療が他のサービスと大きく違うところは情報の非対称と不確実性。
ただ歯科医療の場合この不確実性というのは全体として医科に比べて極めて低い。

もう一つの情報の非対称について。
これは歯科医師と患者で専門知識に関する情報量に大きな差があるため、サービスの消費の際にフィードバックが働かないことを意味する。その結果医師誘発需要というモラルハザードが起こり得る。
つまり、これを是正することにより、モラルハザードをある程度排除することができるようになる。
要するに社会的な評価系の核心部分は国民教育だということになる。

あと、硬性の評価系である行政監督機能も強化して良いと思う。
政府として歯科医療全体の質を担保するには、全体のレベルを上げるか、底辺を排除するかの選択肢があろうかと思う。
てっとりばやく国民も納得するのは底辺の排除だろう。
前の日記のレスでも書いたけど、行政指導歴・処分歴や保健所への患者相談の数などを公表すればいいんじゃないかと思う。一応毎年公表されてるけど、もっと情報へのアクセスを良くするという意味で。



○ 三つ目

取り組んだって言うと大げさだけど、今回の研究体験実習の発表会の委員になって、いろいろと教官に提案を行ったんだけど、結局実現されなかった。

何を提案したかっつーと
・発表会の学外への公開と広報
・academic以外からの客演講師招聘
の2点。

実現可能だと思って提案したんだけど、拒否された。
コンセプトは大学外との交流。大げさにいうと多様性の認識。
はっきりいって医科歯科の世界は異様に狭い。変化に乏しく、情報も外部のものはほとんど入ってこない。こんなので社会に対するマインドが育つはずがない。

あと特に必要だと思うのはマネジメントに関する教育。

マネジメントとは、単なる金勘定の話ではなく、組織作りや人事、問題解決の方法などを意味する。
歯科医師なんてほとんどは開業するし、そもそもデンタルスタッフを指揮する立場にあるんだから、この必要性とは十分にあると思う。
医科歯科ではこれに関連して、選択セミナーで「開業への途」というお題で開業ブローカーやらなんやらの全6回のセミナーがあったけど、学生に受けさせるべき授業は、ただの業者の営業なんかではなく、その業者の価値を判断できるようにする教育だろと思った。
アルバイトを1人一週間雇えばできそうなマーケティングもどきの値段を聞いて驚いた記憶がある。

あと全員必要とは思わないけど、政策業界なんだから、もっと政策のことがわかって主張できる人間が必要だろう。これからは賄賂と献金だけでなんとかしようとしてなるなんてことはないだろうに。
中医協の議事録なんか見ると、歯科代表委員の発言なんて全部で30秒もしてないんじゃないかと思う。



○ で、二つ目

これは今歯科に関するものの中で一番興味あること。

今の歯科医療の提供は個人診療所が全体の85%を占める。
これは非効率ではないかというのが俺の仮説。
簡単に言うと、全体として不動産屋や医療機器屋に余分な金を払っているんじゃないかってこと。
例えば、2人の歯科医師がそれぞれで歯科診療所を設立するよりは2人で一つの診療所を作った方が、調達しなければいけない土地は狭くて済むし、受付などのスタッフ数、レントゲンやレセコンなどの設備投資も抑えられるのではないかと思っている。規模が大きくなることによって材料費などの交渉力が増すことも考えられる。
歯科医療機関の経営を考えると、縛られているのは保険点数とその総額だけなんだから、他の部分は市場と相談してうまくやらなければならない。

これが資本面での利点。

もう一つ、大学からの人材のスムーズな利用という点。

現在大学を出てすぐ開業なんて人間はほぼいない。
大抵は大学に残って医局に入ることになる。そこで受けるのは専門教育。
しかし、ほとんどの歯科医師が開業する時は一部の例外を除き、一般医として開業する。何年も専門医となるべくトレーニングをうけてきた人間が一般医になるのには苦労が伴う。実際にインタビューでもその声を何回か聞いた。

中規模診療所となることによって、業務分担を行うことができる。つまり、専門性を維持できる。これは大学でトレーニングを積んだ歯科医師にとっても患者にとっても利点だろう。



あと、歯科医療の社会的価値を高めることができるのではないかという仮説がある。

歯科医療の特徴に定期検診と幅広い年齢層の需要というのがある。
生活習慣病が主要な疾患になった現在において、この二つはすごい強みになるのではないかと思っている。
具体的には医療部門で医科の健診センターや退院患者のケア、医療以外の分野でヘルスケア産業(例えばフィットネスや整体など)との連携ができるのではないか。

歯科診療所である優位性とは
・医療の基礎知識を持ち合わせた専門家であること
・上記の特徴から需要が偏る医科に比べて有利であること
・届出を行うので政府はその把握を行いやすいこと

これには個人ではなく、信用が付与された法人であり、かつ幅広い対応ができるようにある程度の規模の組織である必要がある。

医療とその周辺分野を含めてヘルスケア全体の市場規模は100兆円と言われている。歯科医療費が抑えられているのなら市場から引っ張ってくればいいと考えてる。ヘルスケアの尖兵として歯科を位置づけることができるのではないかと考えてる。

まぁ話が大きくなりすぎなんだけど。



これを推進する際に何が問題か、なぜこうならないのか。

考えた仮設は
・歯科医院を開設する際初めから法人が認められることはほぼないので、個人の無限責任という形態である。
・資金調達ができない。
・前例がほとんどない。開業ブローカーのいいなり。
・経営判断ができない。
・社交性か協調性のようなものが薄い。
とりあえず以上の5点。

でここで金融のもつ力を使ってうまく誘導できないかと考えている。





長くなりすぎた。

おそらくしっかりと覚えておかないといけないのは、大半の国民は歯科のことなんて眼中にないということ。また、医療のことでさえ、深刻な病気になった時か年老いてからしか重要なことだとは思わないこと。
どうしても医療の中にいると、必要と思ってる人しか自分達のところにこないから勘違いしてしまいがちであるということを、とある人から指摘された。

例えば歯科が行政を動かしたいと思った時、政治家や厚労省に働きかけるのが良いのか、国民に自分達の正当性を訴えるのが良いのかという問題がある。長期的に望ましいのは後者だし、歯科医師は全国に存在するから可能だろうけど、その際には無関心の壁を乗り越えなくちゃならない。もちろんその際にこちらの価値を認めてもらえなければ逆の結果になるリスクもある。
一体歯科は社会の中でどのような価値判断がなされているのだろう。
どうあるのが自然で説得力があるんだろう。
実現させるための方法はどのようなものがあるんだろう。

まだまだ勉強が必要だなと思う。




文字ばっかでわかりにくい文章を最期まで読んでくださった方、ありがとうございました。
いろいろな勉強と平行してずっと継続的に考えてきてる問題だけど、まだまだ先は長そう。
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プロフィール

udnkui

Author:udnkui
香川県出身。
京大大学院の博士院生。医科歯科卒。jazz好き。神社巡り好き。独学での法律、政治、経済、経営等社会科学の基礎知識と国会議員、外資投資銀行(米・英・欧)、学際系研究室などでのインターン経験があります。
興味事項:社会、科学、自然、芸術
日々精進してます。

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