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歯科医師過剰をめぐる問題の構造化と解決策の提案

とりあえず研究体験実習の発表のレビューします。

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「歯科医師過剰をめぐる問題の構造化と解決策の提案」
歯科医療をめぐる社会問題の一つに「歯科医師過剰問題」がある。しかし、歯科医師の適正数には様々な考えがあり、何が問題であるかはっきりしていない。そこでこの問題が経営悪化の文脈で語られることが多いことから、歯科医師過剰問題とは歯科医院の経営悪化と、それに伴う歯科医師のモラルハザード喚起の問題であると位置づけ、それらの問題を起こす要因を探り問題の構造化を行うことで解決策を探ることにした。
 問題の分析は、社会を制度環境・医療機関・歯科医師・患者の4つの要因に分けた枠組みを作り、仮説的課題を設定した上で、それぞれについて文献や統計資料、インタビュー調査により検証するという方法をとった。
 そしてその結果から、制度改革、医療機関再編、教育改革の3つの解決策の提案を行った 。
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これは抄録に載せたもの。以下レビュー。

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歯科医師過剰問題なんて社会問題ではなく、歯科の中(特に開業医)での問題。社会の中では問題だと認知されていない。
そして歯科医師が過剰であること自体が問題ではない。(歯科医師の存在は罪ではない)本質的な問題は例えば歯科医院の経営の悪化や歯科医師の技術力の低下、モラルハザードの問題である。
これが当初の観察。

患者一人当たりの単価は増加しているが、患者数減の高価により歯科医師一人当たりの生産性は悪化している。また、近年の歯科診療所は全体として増加はしているものの、開設数が減って廃止数が増える傾向にある。歯科医師一人当たり、歯科診療所一施設当たりの歯科医療費が減少傾向にあるのは言わずもがな。これらは事実。これらをもって歯科医院の経営は悪化しているとした。
もう一つは歯科医師の多い都道府県ほど患者一人当たりの歯科医療費(国保)が多い傾向(R^2=0.4149)にあるということ。もう一つの事実。公定価格である保険診療ではそもそも価格の差がつくはずはない。また競争が厳しくなると単価が下がるという経済学的な論理にも反する。よってこれらをもってモラルハザードが現実に起こっているとした。
もう一つ、技術力の低下について。この仮説の根拠として若年歯科医師が開業してしまうというものがあったが、検証した結果、確かに若年層の開業医は増加しているものの全世代で同様に増加していたのでこれは採用しなかった。

ここで歯科医院の経営悪化とモラルハザード喚起が現実に起こっているという事実認定をした。


次に行ったのが問題の分析。
これらの問題が起こった原因を可能な限り、漏れなく重複なく分析するためにフレームワークを作った。
社会を? 制度・環境(保険制度、医療者養成供給、医療監督等)、? 医療機関(組織統治、経営、再教育等)、? 歯科医師(知識、技術、態度等)、? 患者(権利、責任等)の4つにわけた。
初めに論理的に導き出せる仮説を30~40ほど導き出し、その中から検討に値すると判断した仮説11個を抜き出した。

?:?歯科医療に係る公定価格が低い?過当競争に陥っている?歯科医師に対する公的教育が不十分である?歯科医療監督機構が機能不全に陥っている
?:?権限の一極集中が起きている?経営者が経営知識に乏しい?再教育(私的教育)が十分に行われていない
?:?技術力が低下している?質の担保が揺らいでいる
?:?歯科医療への関心が低い?歯科医療に関する知識レベルが低い

この一つ一つについて検証を行った。定量把握が困難なものについては歯科医師へのインタビュー調査を行った。

まとめると

? 制度・環境
歯科医師間の競争は激化しているが、業界への参入抑制や撤退促進は働いていない。また歯科医療の公定価格は低く抑えられている。教育において、経営教育を中心とした社会教育が不十分であり、歯科医療機関や歯科医師を十分にサポートできていないといえる。

? 歯科医療機関
歯科診療所の大部分を占める小規模診療所では権限と責任の一極集中が起きるため、十分な内部統制システムがとれない。私的教育については勤務医の努力に任されている。また、経営者たる歯科医師は経営に関する素養はほとんどもっていない。

? 歯科医師
卒業間もない歯科医師の技術力が低下している。また、開業歯科医師において、経営面の事情から診療レベルを下げるといったことが起こっている。

? 患者
歯科医療への理解が薄く、歯科医院の予約などの面において歯科医療が専門家の労働集約によってなされるという意識が低い。


次に解決策の提案。
制度改革、医療機関再編、教育改革の3つの提案を行った。
具体的に

・制度改革:【歯科医療評価系の強化】
歯科医療サービスのコストや需給状態を勘案した価格設定を行うとともに、歯科医療者の評価・情報公開を行い、社会的な評価系を構築する。

・医療機関再編:【中規模歯科診療所】
資本生産性をあげ、組織としての信用と永続性をもち、さらに専門性を高めた教育・診療体制をもった医療機関を作る。

・教育改革:【歯科教育の社会化】
大学において、医学や歯科医学だけでなく、積極的に社会との相互理解に必要な教育を行うことで、歯科医療の社会化と、社会の歯科への理解度向上を図る。

これをもって2点の問題点が低減されると結論付けた。

今回の研究では限られた時間と資源の中での研究であったため、現状把握や仮説の検証は厳密ではない。よってより厳密で経済学的分析、Narrative-baseではなくEvidence-baseな分析が必要になる。
また提言に関してはCase StudyからImpact Study、Feasibility Studyが必要である。
さらに問題解決には具体的に、政策・非営利部門に対しては政策提言、営利部門に対してはビジネスモデルの提案などが必要である。
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以上。
これについての個人的discussionはまた別の日に。

時間と金がない。うむむむむ。
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プロフィール

udnkui

Author:udnkui
香川県出身。
京大大学院の博士院生。医科歯科卒。jazz好き。神社巡り好き。独学での法律、政治、経済、経営等社会科学の基礎知識と国会議員、外資投資銀行(米・英・欧)、学際系研究室などでのインターン経験があります。
興味事項:社会、科学、自然、芸術
日々精進してます。

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