スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

国家・流動・硬直

先日書いたジョセフ・ナイ・ジュニアの「国際紛争」読み終わりました。
すげーいい気分です。
知的にエキサイティングで、最高の休日を過ごせました。


この本の内容とはちょっと違うけど考察。
思いつくままに書いたものなんで、くそ長いです。

要約すると、
・昔も今の人間は変わらないなぁ。
ってことと
・柔軟に対応することって大切ですね。
ってこと。
はい。


この本読み始めてすぐに当たりと思ったのは、この本のはじめに国際政治学の理論(リアリズム、リベラズム、コンストラクティビズム)を紹介し、実際の歴史においてそれらが一貫した論理となりえないことを豊富な事実と説得力のある論理で指し示していたから。安易な定式化をもって満足することなく、多元的に複雑な事実がなぜ起きたのかについて時代をおって考察していくのがすごくエキサイティングでした。
とある都合により世界史を習ってない身としても。


この本の内容とはちょっとずれるけど考察。

この本の第一章にこういう部分があった。
『リアリストのロバート・ギルピン(Robert Gilpin)は、「真面目に考えてみて、国家の行動について、20世紀の国際政治学者が知っていることで、ツキュディディスや紀元前5世紀のギリシャ人が知らなかったことなどあるのだろうか」という疑問を発した後、自らこう答えている。「究極的に言えば、国際政治は依然としてツキュディディスが特徴づけた通りのものなのだ」。』
著者はこれには議論の余地が残るとしながらもツキュディディスの議論についての有意性を認め、ペロポネソス戦争の要約をしている。

ペロポネソス戦争というのは古代ギリシャの辺境都市エピダムノスの民主派と寡頭制派が争った内戦をきっかけとしてアテネを中心とするデロス同盟とスパルタを中心とするペロポネソス同盟とが争った戦争のこと。

ツキュディディスは、その著書「戦史」の中で、この戦争の真の原因ではなく、戦争を不可避にしたのはアテネの力の増大であり、これがスパルタに引き起こした恐怖だと結論づけたアテネの歴史家。

これはバランスオブパワーの基本であり、第一次世界大戦や冷戦その他多くの紛争にも適応できる考え方だ。

そういえば以前参加したシンポジウムで東大の法学部教授が「法律というのは根本的なところでローマ法以来変わっていないのではなか」という内容の発言をしていたのを思い出した。

また、上記のペロポネソス戦争でスパルタとアテネの討議におくられたアテネの代表は「戦争において、予測できないものの果たす大きな役割もまた考えてみよ。戦争が長引けば長引くほど、多くの事態は偶然に左右されるようになるのだ。」と発現したそうだ。非常に理性的であり的確なもので興味深い。


なぜギリシャ・ローマの人々は2000年以上も通用する本質的なものを導くことができたのか。

昔の人間は賢かった。

と結論づけるのは簡単だけど、それはちょっと違和感がある。
古代には哲学が発達していた。
それは科学が進んでいる現在から見れば頓珍漢な印象があるんだけど、実はその部分が古代人の学問の本質ではなかったのではないか。

哲学というものは「それがなぜか」というものについてとことん追求する性質をもつ。
自然に対する哲学は普段の生活で見ることが出来ない部分に対して追求することが出来なかった。つまり知ることができる現在からみると、知らない人間の思考は非常に頓珍漢に見える。
しかし注目した今回は法と戦争だ。
対象は人間活動の結果生まれたものだ。答えは人間の中にある。つまり、対象は追求をつづければ本質にせまることができるものであった。
人間自体は古代だろうが近代だろうが関係ない。
戦争はいつでもその時代の人間と人間のある敵対心の結果生まれる衝突であり、法はその時代の人間が衝突しないための知恵だ。

規模が大きくなり、包含する情報が飛躍的に増大しても、人間の本質的なものは変わらない。古代人を生まれた瞬間に現代につれてくれば現代人と同じように考えるだろうし、現代人が古代で育ったなら古代人として考えるだろう。

ホッブズは万人の万人に対する闘争を自然状態と定義していた。要するに時代がいつになっても生きている限り自己を保存するために社会契約をし、その結果生まれたリヴァイアサン同士が闘争をする。

そのリヴァイアサンはすべて人間の作るもので、政府であったり同盟であったりするのだが、闘争が集団であるかぎりその本質は変わらないのだろう。

なぜか。
人間は生まれたときは0であり、全員そこから学ばなければならない。
古代も近代もその点で平等であり、その人間の活動が生み出したものの本質はそう変わらない。そして本質を追求する能力もそう変わらないのではないか。


うーむ。
ちょっと言いたいことからずれたから元に戻します。


ペロポネソス戦争であれ二回の世界大戦であれ、戦争を回避する努力は常に続けられていた。バランスオブパワーの考えは戦争をするたものものではなく平和を守るためのものであった。しかし、現実にはおこってしまった。

それがなぜか、という疑問に対して、著者は、バランスオブパワーを保つ同盟が柔軟性を失って硬直的なってしまっていたから、という考えを表している。
変化に伴って柔軟に同盟を組みなおせば戦争は起こることはない。勝てない戦争はしない。バランスオブパワーの考えに従えばこうなる。

柔軟であるということはもっと重要な意味がある。

第一次世界大戦でドイツが過去の事例にとらわれていなければオーストリアに委任状を渡さず戦争は始まらなかったかもしれない。ヴェルサイユ条約がドイツに対して柔軟であればヒトラーは戦争が終わってから建築家を目指していたかもしれない。

反実仮想だからその結果がどうなっているかはわからないけど、硬直的であることは衝突を生みやすくするだろう。
また、問題に対して硬直的であることはそれが間違っていた場合問題を必要以上に大きくする。

代表的な例は宗教紛争だろう。
宗教はその教義に極めて硬直的である。イスラエルとパレスチナが共に無宗教なら中東問題はもっと穏当なものになっていただろう。


お互いを理解できないことが原因の闘争ならば、理解しあえば闘争はなくなる。
なぜお互いを理解することできないことがあるかといえば、それはお互いが自分に対して硬直的なことが原因だ。ようするに相手を含めた現実をあるがまま受け入れ、その対応策を考えれば、その問題について両者を区別するものがなくなり、闘争はおきない。
もちろんこれはあまりに牧歌的であり、現実に完全に知ることなど不可能なんだけど。ただ相手を知り、相手が自分を知ることは闘争の確率を減らすことは確かだ。
9条を教義として絶対的なものと考えている人にとって少しでもそれを脅かすものは悪になるし、国粋主義者にとって国民の権利を増大させることは悪になる。知ろうとしない限り相反する教義は絶対分かり合えない。


現在はそれが格段に容易になっている。科学技術の進歩により世界は小さくなり、グローバリゼーションや多様化が進んだからだ。国家の枠もどんどんあやふやなものになりつつある。

この本の著者、ジョセフ・ナイ教授は1999年に「台湾は独立を放棄せよ」と、こんなことを言っている。
民主主義を世界で推し進めているアメリカからすればいたって不可思議な発現だ。
「台湾が独立によって得るものは形式的なものであり、実質的に得るものはほとんどない」としている。
ようするに国家の枠組みが揺らいでいる現代において、中国にとっては最悪のシナリオである独立に際するコストとリスクは莫大なものとなる。
以前紹介した「大地の咆哮」では、現在の中国政府が正統性を保っていられるのは台湾を統一するためという大義があるからだ、と述べていた。つまり、台湾は独立するために多大なコストを支払った結果、その結果中国にも深刻な混乱が起き、この地域に非常に大きな不確実性をもたらし、結局台湾は深刻なダメージを受けてしまう可能性がある。
それより、現在は国という枠組みをもたなくても地位を得ることができるのだから、その方が良い、ということだろう。
国家を硬直的に考えていると出てこない発想だろう。



思いつくままに考えていることを書いていったら長くなった。
そらそうだ。
あとちょっと。


自分を丸ごと肯定することは難しいけど、自分を崩すことも難しい。

俺は高校の時に先輩からその姿勢を教わった。
その先輩は「なるほど、きみって頭いいね~」ていう相手の意見をすぐ受け入れる人だった。
それまで自分の意見を戦わせることが大好きだった俺にとってその姿勢は新鮮であり、羨ましかったので相手の意見を聞いた時に必ず「なるほど」を言うようにした。
すると、あら不思議、相手の意見を格段に聞けるようになりましたとさ。

なるほどが言えない人は今度気をつけて言ってみましょう。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

udnkui

Author:udnkui
香川県出身。
京大大学院の博士院生。医科歯科卒。jazz好き。神社巡り好き。独学での法律、政治、経済、経営等社会科学の基礎知識と国会議員、外資投資銀行(米・英・欧)、学際系研究室などでのインターン経験があります。
興味事項:社会、科学、自然、芸術
日々精進してます。

注意事項


Twitter
カテゴリー
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。