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就活英語学割シグナリング

ゲーム理論三部作二つ目。

今回のテーマはシグナリングとスクリーニング。

まず交渉について。
交渉は日常のあらゆる場面にあるというのは誰にでも理解できる。

交渉の定義は何か
「ある事を実現するために、当事者と話し合うこと。かけあうこと。」(大辞泉)
「利害関係のある二者(もしくは複数)が、互いの要求を主張して、最終的な妥結点に到達するプロセス」(MBA経営辞書)

ピンとこないので自分なりに定義すると
「取引に際して生じる余剰利益を分け合うプロセス」
となる。あくまでどちらも妥協できるから交渉が成り立つのである。もし相手が妥協できないことにコミットメントがあるならば交渉は成立しない。例えば誰もコンビニ店員に値引きを持ちかけない。なぜならば取引はPOSで管理され、勝手に値引きをした店員は管理者から注意を受けるし、買う方もそれがわかっているからだ。

じゃあ逆に交渉を行う場合、例えば家電を買うことを考える。交渉を有利に進めるにはどうすればいいか。

前提として、電気街で希少ではないテレビを買うとする。どの店も原価は同じ、その他サービスも同じだが、人気店と不人気店があるとする。
店員は原価を把握していて価格に関する裁量をもっている、そして売上が自分の成績に繋がる。
客はテレビを買えるくらいのお金はもっているが有り余っているわけではない。そして原価は知らないが価格.com最安値の情報はもっている。
そして両者は最大30分で交渉を行うとする。

という風に上に書いた前提条件はすべて交渉に関係する。
ただし情報にも相手に知られている情報と知られていない情報がある。当然情報を持っているほうが有利。

ここで重要なのは得る事ができる情報から相手の情報を類推すること。
逆に出す情報を操作して相手の類推にノイズを加えること。

例えば客が金時計しておきながら「お金もってないんで値引きしてください」といっても店員は信じない。逆に財布に5万円だけつっこんで「5万円しかもってないんで値引きしてください」というと53000円のものが50000円になるかもしれない。客が自店より安い他店のチラシをもってたらその客が他の店に行くというコミットメントになるので店員に裁量があるかぎり値引きする可能性は高い。


テレビを買う場合は買って終わりだが、一度ですべてを決めることのリスクが大きい場合、例えば大型の公共事業や、事業期間が長期にわたる契約の交渉などは一定期間をおいて見直しという再交渉を行う。



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実際はこういった情報のやり取りは交渉に留まらない。
例えば就活。

企業は優秀な人材を採りたい。学生は自分が優秀な人材だと思わせて採ってもらいたい。(優秀の定義云々はナシ)
一番収まりがいいのは優秀な学生が採用され、優秀ではない学生が採用されないこと。学生にとっての悲劇は優秀なのに採用されないこと、企業にとっての悲劇は優秀でないのに採用してしまうこと。

自分の素を出して採用されればそれは最高。
しかし、採用プロセスにはごく限られた資源しか投入されない。自分の「優秀さ」は採用に値するのに、それが企業に伝わらないことで採用されないことは大いにありえる。逆に企業側も優秀さを十分に確認できるほどの資源を避けないので他の指標を使う必要がある。

ここで両者の立場を見ると、企業は今後も採用を行うために軽はずみな事はできない。例えば内定取り消しは企業の名声に繋がるリスクのある行為だ。
逆に学生側は採用プロセスは一度きりであり、採用されたならば権利を認められるため、嘘をつくことができる。内定蹴りも大きなリスクなく行える。

重要なのはこういったことは両者とも承知しているということ。
例えばサークルの代表をしていたという経歴はリーダーシップを発揮した経験と言えるかもしれないが、簡単に調べることはできず容易に嘘をつける内容であり価値はない。
逆に英語とフランス語とドイツ語と中国語話せます。というのはその場で確認できることであり、グローバル企業ならば価値があると判断できるだろう。




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ここで英語に関して。
少し前に楽天やファーストリテイリング、日本電産などが英語に関する社内目標・規則を発表して話題になった。
「英語は手段であり、目的にしてはならない」
こういうことはこういった企業の経営者は言われなくても知っているはずだ。
これをシグナリングとスクリーニングの観点で見ると言語としての英語留まらない先の効用を見ることが出来る。

英語が話せるということと優秀であることというのは必ずしも結びつかない。しかし、優秀な人なら英語が話せる人が多いはず。少なくとも努力すれば道具にすぎない英語くらい話せるだろう。つまり努力する気の無い人間やもともと能力の無い人間をスクリーニングすることができる。

そしていまや日本企業の成長は海外売上の増加によってなされているという事実がある。つまり株主にとっても企業の海外戦略には重大な関心があるはず。特に楽天なんかはほぼ国内売上であり、日本経済の停滞の道連れになるかもしれない。
ここで単に「海外売上を強化します」というのではなく、実際に英語に関する規則というコミットメントを作った方が、会社の本気度がわかる。

これらの効用は英語自体の効用とは無関係である。
ちなみに同じ事が高等教育についても言える。高等教育は通常手段であって目的ではないはずだし、大学行ってるだけの馬鹿なんて腐るほどいるが、企業が高卒よりも大卒に高い給料を出すことについても上記と同じ理由で合理的である事が言える。




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スクリーニングを行ってる例としてもう一つ例を挙げるなら学割がある。

企業は財・サービスをなるべく高い価格で売りたいが、価格を高くすると需要が減る。そこで用いられるのが価格の差別。
理想は各顧客が払える最大限の価格を提示することだが、そんなことは現実的ではない。そこで用いられるのがスクリーニング。
ここでは学生であることと、学生でないことが払える最大の価格のシグナルになる。
ここで気をつけなければいけないのは裁定取引。ファーストクラスやグリーン席と違ってあくまで同じ財・サービスに対する価格差別なので転売されてしまう可能性がある。転売されては高価格帯市場は崩壊するため譲渡禁止というルールが定められている。そうはいっても完全にチェックはできないので発行枚数にも制限がある。発行枚数については金がない人間に向けたサービスであるという点も関係するかもしれない。

こうした価格差別の効用は実証されてるので学割は社会的な責任でもなんでもなく、単純に売上を増加させる戦略ということになる。
もしかしたら赤ひげも単に売上を増加させたかっただけかもしれない。
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プロフィール

udnkui

Author:udnkui
香川県出身。
京大大学院の博士院生。医科歯科卒。jazz好き。神社巡り好き。独学での法律、政治、経済、経営等社会科学の基礎知識と国会議員、外資投資銀行(米・英・欧)、学際系研究室などでのインターン経験があります。
興味事項:社会、科学、自然、芸術
日々精進してます。

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